1. リフォーム決意と前準備
リフォームを決めた理由

UnsplashのMarkus Winklerが撮影した写真
実家を片付けるだけでは終われなかった
のは…。
築60年超の実家、途中、2階部分を増築
したり、お風呂、トイレ、屋根をリフォーム
することはあったけど、全体的にはかなり
老朽化していたのです。
その上、古い建物ゆえ断熱材が入っていないので、冬は家の中でも冷え込んで
肩が凝るほど。
耐震対策もしっかりとられていないので、地震の頻発している昨今、早急に
対策したい、と思っていました。
そんな家の中に、えげつない数の物があって…
いや、ありすぎて、整理がおぼつかない状態でした。
触りかけたら、ちょっとやそっとでは終わらないから、よっぽど覚悟ができた
時でないと怖くて触れない、といった感じでした。
でも、3年後、私達親子3世代、確実にこの実家へ帰り、また生活を始める、
と決めたからには!

UnsplashのGilberto Olimpioが撮影した写真
快適で心地良い家で暮らしたい!
家時間が楽しくなるような、
センスいい眺めで癒やされるような、
部屋で過ごしたい!
寒さに弱い母を、冬でも温かく快適に
過ごさせてあげたい!
娘が友達を呼んで泊めてあげられる部屋を作ってあげたい!
3年間ある。
何とかならないか…。
もしやるとしたら…?
何から始める?
工事をしてくれる会社を見つける。
どうやって?
情報誌で探す。
ネットでも探そう!
お金はいくらぐらいかかる?
施工例を見て相場感を知ろう。
出せるお金はいくらぐらいある?
自分の預金、母の預金、残高は…。
今後の生活や娘の進学にどのくらい残しておく必要がある?
リフォームにお金をかけて、後の
生活は大丈夫?
日常生活と仕事の維持、と 遠方往復の費用、と 体力…。
やれる?
や…る!
何とかなる!
何とかする!
大丈夫だろう。
そうやって自分自答の末、決意しました。
資金・工期の目安
トイレのリフォーム、
お風呂のリフォーム、
ベランダの造設… と、
たくさんの施工例は
ネットで見たものの、構造から
全面的にリフォームするなると、
一体どのくらいの金額になるのか、
なかなか答えが見えてこない。
ただ、自分の想像を超えてくるに違いない、
という覚悟だけはありました。
…大抵そういうものだから。
削れるものは削って、値切れるものは値切って、疑問点は躊躇なく質問し、
恥をかいてもいい、面倒くさい客と思われてもいい、ぼったくられることだけは
ないように強気でいこう、という覚悟はあったけれど、見積もり額は多めに想定して気持ちに備えました。

Image by Malachi Witt from Pixabay
工事日程については、私達が
3年後の3月末に京都へ帰る時
までに間に合えばよいので、
なるべく早くリフォーム会社を決定して余裕を持って計画を進めてもらおう。
工期に4~5ヶ月かかるとして、スケジュールの空きを確認して調整してもらっても、十分時間がありました。
ただ早急にやらないといけないのは、それまでに家の中をきれいに空けてしまうこと、それに尽きました。
家族の反応と準備段階での課題

UnsplashのBruce Tangが撮影した写真
遠方にいながらにして京都の家のリフォームをする、
ということは、度々、私が家を空け京都へ出向いて滞在することになります。
仕事は休まないといけないし、母や娘の世話はできなくなるということです。
母については、デイサービスに通っている施設で
ショートステイ(宿泊)をお願いすることができ
ました。
少しの間 私が家を空けるから、施設に宿泊させて
もらってね、という説明とともに母に実家をリフォームしようと思っていることを話しました。
”そうか…”と話を聞いてくれていた気がするけど、もうどんな話をしても
表情は薄い。驚くでもなければ喜ぶでもない。
もうあまり複雑なことに考えが及ばない感じだったのでしょう。
ただ、これまでどんなことも反対したり嫌がったりすることはなかったので、
私には信頼を置いてくれていて、まかせてくれていたのでしょう。
家具も衣類もインテリアも、古い
もの、使っていないもの、邪魔に
なるものは処分する旨と
本当ならお母さんに1つ1つ確認
してもらいたいけど、不自由な体
では一緒に行ったりきたりも
できないし、私にまかせてほしい
旨を伝えました。
「大事やろうと判るものはもちろん残しておくけど…。何かこれだけは残して、
というもの、ある?」と尋ねた時、
「もう忘れてるわ、もう…しゃーないな…」と言いつつも、
本真珠の首飾りとイヤリング、そしてミンクの襟巻きとカシミヤのコートだけははっきり覚えていて、残留を頼まれたのでした。
実はコート以外のものは、京都を離れるときに既に一緒に持ってきていました。
母が大事にしていることを、前から知っていたからです。

Image by Cheryl Holt from Pixabay
娘には、前からリフォームしたい考えは話していました。
いよいよ決断した時、最初の片付け帰省の予定日程と共に伝えました。
自分が京都に行っている間、たった一人
での生活になるけど、戸締まり、火の
始末、健康面に気を付けて、無事に過ご
してほしいこと。
これから自分が一人で何度も京都に出向き、実家の片付けとリフォームを
3年かけてやり遂げるつもりでいること。
3年後に再び始まる京都での暮らしが、家族全員にとって快適なものにする
よう必死に頑張るつもりだということ。
「〇〇ちゃんも受験で大変やけど、私は家の計画とおばあちゃんのことで一杯いっぱいやから、
◯◯ちゃんは〇〇ちゃんで自分のことをしっかり
やってな。◯◯ちゃんは大丈夫やって信頼してる
から」
と言うと、神妙な顔で「うん」と言ってくれた
のでした。
2. 業者選びと面談、契約の裏側

UnsplashのPaul Hanaokaが撮影した写真
さあ、いかに実家を生まれ変わらせよう!
日頃からナチュラルスタイルの家の写真を雑誌
などを見てあこがれていました。
あこがれの家に少しでも近づけるために、これは
あくまで理想。うちの実家では条件的に難しい
こともあるやろう。
じゃ、できることは何?
どんなアイディアやったら実現可能なんやろ?
図書館に行って家造りやリフォームに関する本を借りたり、ネットでリフォーム例を見たり。
そして、「こんなのいいな」と思ったものは写真に残しました。
業者に具体的イメージを伝えるのに、これ必須。
雑誌「京都で家を建てる」で地元業者の施工例や得意分野などリサーチしたり、「ホームプロ」というサイトで施工写真や口コミのよい業者をピックアップ
して絞り込みました。

Image by StartupStockPhotos from Pixabay
口コミで評価が高い、というのは絶対条件として、施工例写真や会社紹介
ページの写真などから感じられる
雰囲気…
もうあとは自分の勘を信じるしかない部分があります。
4つの業者にコンタクトを取り、実家の状態や現在、遠方に住んでいること、体の不自由な年寄りを含む3人家族ということ、3年後に入居予定ということなど、ひと通りの情報と次に現地へ赴く予定日、その時に家を見て頂き面談したい旨を伝えました。

1日に時間差で2社、2日にわたり
業者に実家に来てもらい、面談し、家の状態を見てもらいました。
片付け途中で引っくり返っていたけれど、ありのまま見てもらい、どう
リフォームするのがいいか、次の面談時にプランの提案と見積もりの概算を提示してもらえるようお願いしました。
決め手

Image by Adam Radosavljevic from Pixabay
最終的に選んだ業者は、1番魅力的なプランを提案してくれたところ。
部屋のレイアウトを気に入ったこと、唯一
イメージ写真付きのプラン図を作成してくれた業者で、現実的なイメージがわいて夢が膨らんだのでした。
プランナーさんが女性だったので、こちらの
好みを伝えやすかったこと、営業の男性が現場
経験のある方だったことから、工事についての
具体的な質問にも詳しく答えてもらえたこともよかったし、
メールで問い合わせた時のレスポンスも速いこともポイントでした。
はっきりいって、最初の面談の段階でがっかりする業者もあった。本の紹介ページではカジュアルでおしゃれな施工例が載っていて、
いい感じ〜と思っていたのだけど、来られた3人さんは感じよくはなかった…全く。
古くて狭く、散らかったうちの実家の状態に
なんだか引いてらっしゃるような…。
”とんだゴミ屋敷に来てしまった”と思われて
いるのかな、と感じるような…。
居心地悪そうな…。
すぐに”違うな”と思ったのでした。
自社の製木工場を持っておられる会社はちょっと惹かれたけれど、提案された
プランが平凡で、今ひとつ魅力を感じませんでした。
ここ、と決めたら、自分の目を信じて、
業者さんを信頼して、きっと素敵に
リフォームしてくれる、と信じてまかせ
ました。
遠方にいて工事の様子は見に行けない
ので、もう信頼するしかない。
きっと信頼に応えてくれる、と思うように
しました。
3. 片付け帰省ごとにプランを詰める日々
実際の打ち合わせの進め方

Image by Peter Olexa from Pixabay
田舎の生活に帰っている間は、
業者とはメールや電話でやりとりし、
京都へ赴いた時に会ってプランを
つめ、契約を交わし、壁紙や床材、
サッシの色などサンプル帳を見ながら
選んだり、TOTO、LIXILといった
トイレや風呂、キッチン設備の
ショールームへ行き、商品を選ぶなどスケジュールいっぱいに動いたのでした。
夜行バスで来てすぐ実家の片付け作業にとりかかり、約束の時間がくれば手を
止めて出かけて行って打ち合わせ。
さすがに頭がぼーっとして、相手の話す内容がすっと入ってこないくらい脳が
疲労していた記憶があります。
メールやりとりと業者との信頼関係を築くコツ
実際の工事の現場を見に行けない不安はもちろんありました。
しっかり手抜きなく、段取りよく、
無駄なく、やってくれているだろうか…。
ご近所に迷惑を掛けていないだろうか…。
プランナーさんが、工事の進捗を節目節目に写真に撮ってメールで送ってくださることが、非常にありがたかったの
でした。
着実にリフォームが進行している、夢に近づいてる、と実感できる唯一の瞬間
だったのです。
私は私で、事情を知ってる近くの知り合いやご近所さんに工事の様子をたまに見に行ってもらい、会った時に教えてもらいました。
お隣のおじさんが、「うん、見てたらね、ちゃんとやってるよ」なんて聞くと
ホッとしたし、このことは業者にも伝えて喜んでもらえました。
こちらが”信頼の姿勢”を見せることで、少なからず相手もその気持に応えようという気持ちになってくれると信じて…。
工事中の問題対応と現場指示
実際に工事を進める中で、天井に段差が
できる、洗面所の天井に2階へ上がる階段
部分が斜めに入り込む、などの事例が起こり、
プランナーさんから連絡がきたが、私にとってどれも問題なく受け入れられることでした。
古い実家の骨組みの形状上 仕方がないことやったし、どれもうちならではの「味」と思えることにすぎませんでした。
シューズクローゼット的なスペースを作りたい、と希望していたのも、
実際には現場に取り除けない柱が通っていて無理、ということで断念。
造り付けの大型シューズボックスをつけてもらうことにしました。

Image by Steve Johnson from Pixabay
その色の種類を選ぶのも、サンプルを送って
もらってすぐ、これ、と即決した。
(”アッシュホワイト”だったかな?)
何がベストかがはっきりと頭の中に
イメージとして浮かんだのでした。
普段は何かを決めたり選んだりする時、
すごく迷うのに、その時だけは、男前〜!な感じで業者が訊いてくる様々なことに対し、遠隔地からバッタバタと即断即答したり指示していました。
自分でもなぜだかわからない。
一瞬だけ頭が冴え渡っていたのかな(笑)。
4. リフォームで叶ったこと・叶わなかったこと
今回のリフォームで叶ったこと
・バリアフリーデザイン
玄関の上り口は段差を低く、家の中の床は基本的に全て段差なし、
母の部屋は扉はスライド式
・母の部屋に専用トイレを作る
・母の部屋から洗面室へ直通の扉をつける
・私の部屋は1階に作り、介護のためにすぐ
母の部屋へ行けるようにする
・キッチンから庭をのぞむ窓を付ける
・ウッドデッキを造る
・リビングから庭をのぞめる掃き出し窓はなるべく大きく取り、ウッドデッキに
続くようにする
・収納スペース(クローゼット)をたくさん作る
・キッチンにパントリーを作る
・玄関のトイレ横には造作手洗い台をつける
・ガラスはペアグラスにする(2階部分は二重
窓)
・窓にはすべて網戸をつける
・照明具、タオルホルダー、
トイレットペーパ ーホルダーは自分で探して購入した持ち込みのものを
つけてもらう
諦めざるを得なかった部分と理由
・シューズクローゼットスペース
取れない柱があり、スペースが取れず、
あきらめてシューズボックスを造り付けた
・サンテラスルーム
建て増しする必要があったのと予算の関係で
あきらめた
5.コロナの影響
コロナウィルスが猛威をふるい、全国で様々な機能がダウンし、わが実家の
リフォーム工事の進行にも少なからず影響がありました。
トイレの便器や造作洗面台の蛇口の入荷が予定より遅れる、との連絡が来た。
とはいえ、私達が京都へ引っ越すまでにはまだ時間があったので、ゆったりと
した気持ちで「待ちましょう」と伝えました。
結果として京都へ帰る3月までに十分間に合ったのでした。
交通の面で、夜行バスを利用して往復していたのが感染予防で運休となり、
以降、新幹線利用に切り替えました。
時間にロスができ、交通費もかさむことにはなったけど、時間が短縮された分、体は楽になりました。
6. 生まれ変わった実家との対面
鍵の受け渡し前日、前のりで帰省
当初2月〜5月の4ヶ月間の工期が設定されて始まった工事、コロナによる商品
入荷の遅れなどで最終的には6月の完工となったと記憶しています。

UnsplashのPeter Bocciaが撮影した写真
リフォームの完成した実家の新しい鍵の受け渡しを、仕事の休みを取って京都へ行ける日を考え合わせて、7月にして
もらいました。
実際に住み始めるのは、その翌3月末
からの予定やったけれど、家財を借家
から運び出す仕事がまだ残っていま
した。
置いたままにしておくと当然家賃が
かかり続けるので、とにかく早く移動させる必要がありました。
土曜の仕事を午前中に終え、午後発で京都へ向かうと到着は夜になります。
家財を置かせてもらっている借家は寝泊まりすることはできないので、
新幹線の乗り換え駅である新大阪駅のA◯Aホテルで1泊して、翌朝
リフォーム業者と現地で落ち合うことにしました。
前夜は翌日対面するピカピカの実家を想像しながらのんびりと…
と思っていたが、オッチョコチョイの私の
こと、同じ新大阪駅近くのA◯Aホテルでも複数あって、自分が泊まる予定と違う方のA◯Aホテルへ行ってしまった!
そこから正しいA◯Aホテルへ向かったが、大きなスーツケースを転がし、
くたびれた足には少々酷な距離やったなぁ。
その上、移動中、何やらけたたましくパトカーのサイレンが聞こえてきたりして物騒な雰囲気におののき、歩きに歩いて、ホテルの部屋に落ち着いた時には
汗だくですっかり疲れ果ててしまいました。
それでも、「いよいよ明日だ」としみじみとなっていた夜。
これまでの集大成の日が来るのです。
リフォーム後の実家との緊張の対面
約束の時刻ぴったりに、リフォーム業者の
営業さんとプランナーさんが満面の笑みで現れました。
玄関の前で挨拶を交わした後、
何とはなしに厳粛な雰囲気で、
「では開けますよ」と私に新しい鍵の
開封の許可を取ってから、営業さんが解錠し扉を開けられた。
私が気に入って選んだ重厚感ある木の扉です。
古く暗かった玄関が、見事に広くなって美しく明るく生まれ変わっていました。
その奥には、おしゃれな造作の手洗い場が見えました。
大好きなアンティークスタイルの照明がほどこされているのも、私の選んだ品。

実際の画像
壁はすべて珪藻土の塗り壁風の、
やさしい白の壁紙にしてもらって
いたし、
扉や床の木の色と調和して見渡す
限り自然の色が
広がっていて落ち着き、私の好きな感じ。
作り付けのシューズケースの色壁に続く感じでしっくりなじんで浮いていないし、イメージどおりでした。

かつての玄関(片付け中)
キッチンとリビングの大きな窓、白い壁の色で暗かった家の中がぱっと明るくなっていた。
まだ何も置いていない部屋の中は気持ちいい開放感があって、まさに自分が求めていた空間が広がっていました。
「わぁぁ〜………」
と言ったたものの、
”さあ、どーです?!” と
ばかりに微笑んで
私の反応を伺っている業者さんたちの手前、
何となく控えめになってしまった私。

冷静さは失ってないですよ、とちょっと構えていた
気がします。
それに、見事に生まれ変わった光景に、
これまでの苦労を思うと感無量の気持ちでは
あるものの、まだどこかで気を緩めてはいけない、
というような気持ちが働き、俯瞰で見ている
もう一人の自分がいたような気がするのです。
ずっと、一人で悩み、一人で考え、一人で決め、一人で判断し、一人で行動
してきたから、間違いのないように、気を緩めず、しっかりやり遂げなければ、というスイッチがまだONのままやったんです。

”さあ、どうです?”と手を広げられても、
最終最後まで抜かりなくやらなければ、と
肩に力が入ってたんです。
業者さんに笑顔を見せつつ(笑)、
ゆっくりと1つ1つ部屋をまわりながら、
注文した箇所や注文した商品、報告を受けていた箇所などを、業者さんに背を向けた時に、目だけ忙しく動かして確認していました。
リフォーム前と大きく
変わったところに
感心して見入ったりしながらも、
”ええっと… ちゃんと見ておく点は何???”
などと、考えている自分がいました。
手放しで感動に浸れない〜!!

でも! でも!!
やっぱり、
よーく見るものよ。
業者のミスがあったのです!!
それは2点あって、
① 玄関とリビングの間の扉のデザインが違った
(半透明のガラスの入り方が違う)
②リビングの角に作り棚を作る案を提案され、最終的に採用しなかったが、造られていた
ずっとメールでやりとり
していたので、
何月何日のメールで
連絡している、と証明が
はっきり残ったので
幸いでした。
業者さんの謝罪後、扉はすぐに取り替えて下さったが、棚はもう造られていて、
なかったことにはできないので(棚の分、壁が凹んで造られてい
る)、値引きにて対応してもらうことになりました。
最終的には「棚なしで」と決めたけれど、
あったらあったで、便利な点もあり、大きな
不満が生じたわけではなかったので納得の着地でした。
完成した。
遂に、完成した。
私達の新しくなった家。
来年3月、みんなそろって帰って来よう。
きっと喜んでくれるはず。
生まれ変わった実家で過ごす初めての夜

UnsplashのSarah Janelleが撮影した写真
何度も片付けに通って寝泊まりした、実家の
居間。
部屋の角に滞在中の衣類をつめたスーツケースを置いて、寝袋を広げるスペースだけは確保して
おく。
襖の向こうから先は棚やタンス、押入れから
出した物であふれた状態でした。
2階も同じ。
お湯の中につかっているか、シャワーで体にかけ続けていないと、冬は寒くていられないような
お風呂。
それでも、片付けでほこりをかぶった体を、
そんなお風呂ででも洗い流さずにいられないから、勇気をふりしぼって
「えいっ」という気持ちで裸になっていました。
生ゴミが出るとまたゴミ出し問題が出るので、お湯をわかすくらいにしか
使わなかったガスコンロとガス瞬間湯沸し機のあった小さく寒い台所。
1階の照明はみな、ひもを引っ張ってつける式で、蛍光灯も古く薄暗かった…。
そんな中に、自分ひとり。
訪れる度にふぅ〜っ…とため息が出ていました。
それが、どうです。
今 目の前に広がっている、明るい空間。
どこもかしこも、美しく清潔。
ああ… とうとう、やったんだ、私。
出産した時の達成感、と言ったら
大げさと笑われるでしょうか。
本当にそれくらい疲労していたし、
その疲労感がやっと
心地よい疲労感として感じられた
ひとときでした。
真新しいフローリングの床に寝袋を広げ 体を横たえると、心底 安堵感で満た
されて眠りについたのでした…。
一時置き場からの家財の持ち込み
さて。
安堵するのも束の間。
ワタシにはまだ仕事が残っているのでした。

UnsplashのToxic Smokerが撮影した写真
一時置き場となっている近所の長屋の部屋で
首を長くして迎えに来てくれるのを待っている、
家財を運び込まねばならないのだ! ひとりで(泣)。
ほっとして気を緩めてはならない。
人間、こういう時に熱が出たりするものです。
一刻も早く荷物をあの部屋から出さなければ。
月をまたぐと、またもう1ヶ月 家賃が発生する!
簡単に朝食を済ませると、
準備周到に用意しておいた薄手の大判シートを
リビングと1階の2つの部屋に敷き、
まっさらの床にキズや汚れがつかないよう
整えると、すぐに作業に取り掛かりました。

UnsplashのKadarius Seegarsが撮影した写真
天気も崩れる心配はなさそうで何よりでした。
1つ、1つ、また1つと
自分で運び込んだ物たちなので、
運び出すときは
運び込んだ逆回転のような感じで、
1つ、1つ、また1つと
前回よりも要領よく進められました。
取りあえず自分の家の中へ運び込んで、
借りた部屋さえ空けられれば。
あとは少しずつ進めればいい。
休みなく何往復もする。
ただひらすら動く。
通りかかったご近所さんに声をかけられ、
挨拶し少し話す。
そしてまた運び始める。

Image by Shad0wfall from Pixabay
よくやったよ。
今やってるのは運び出しじゃなくて
運び込み。
最終工程なんだ。
…なーんてこれまでの道のりを
自分自身で称えて噛みしめながら。
後から移動や片付け作業がしやすいように
考えて、持ち込んだ家財をシートの上に
置いていきました。
借りていた部屋がどんどん
元のがらんどうに戻っていく。
家財の下に敷いていたシートも
きれいにたたんで取り去り…
ゴミ1つ残さずきれいになったことを
確かめて、鍵を閉めました。
お世話になりました。
ああ、終了…!
7.新しい生活への準備
いったん田舎へ帰り、ひととき過ごした後、
再び京都を訪れた時は娘と一緒でした。
京都の大学を受験のための帰省です。
すっかり美しく変身した実家を
わが作品を公開するように、誇らしく
案内して回りました。
「すごーい」「すごーい」と娘が
言うたびに、
「でしょ」「でしょ」と満足感に
包まれました。
受験で手伝ってはもらえなかったけれど、
暑すぎて寒すぎる 住みづらい古家で
一緒に頑ばってくれた娘と
心地よくなった家での暮らしを
やっとスタートさせられる幸せで、
気持ちがほくほくしてきました。
後は少しずつ、楽しみながら
家の中を味付けしていくことです。
母の生活のための準備ファースト

Image by Andreas Lischka from Pixabay
母を連れて帰ってきたら、まずは
その日の夜からすぐ寝られるように、
ベッドが必要なのです。
母は、床に敷いた寝具の上へ寝るために
低い姿勢をとったり、電動の背もたれの
サポートなしに起き上がることができません。
私達の帰省日に合わせて、事前に通販購入した
電動ベッドが届くように手はずを整えておきました。
2人がかりで組み立て、別買いしたカバーを掛けて
布団を敷き、すぐに使えるように準備しておきました。
そう高級とは言えないけれど、とりあえずは
母の寝床は整い、ひと安心。
*起き上がりをサポートしてくれる電動ベッドは、年老いた母には必需でした…
家電品はポイントでそろえる
家が新しくなると、中に置く家電や
家具が古いと何だか不釣り合いに
なってしまうものです。
かといって、リフォームに多額の
お金を使っているので、その上に
出費がかさむのもつらい…。
今回のリフォーム、
地震に備え骨組み部分を
耐震強化してもらい、壁には断熱材を入れて
もらったので省エネ住宅化リフォームとして
ポイントで自治体からの補助が出ました。
自分の家のリフォームが補助金が出る対象に
なるかどうか、自治体のホームページで
確認しておくことがとても大事になります。
期間が決まっているので、知っていなければ
工期が少しずれたことで対象外となって
しまうことになり、悔しい思いをしなければ
なりません。

Image by Nicky ❤️🌿🐞🌿❤️ from Pixabay
今回は結構大規模なリフォームになったので、30万ポイント分もの商品と交換
することができました。
洗濯機やスマートTV、自動掃除機、
自動拭き掃除機、ホットプレートなど、
自分の欲しいものをカタログから選択し
頂けて、とても助かりました。
ポイントを余らさずに、最大限に使えるよう細かく計算して選び、生活の中で頻繁に使うものを
頂けたので大満足でした。
*ホットプレートはコンパクトサイズを選択、出し入れしやすく使い勝手がよくてgood!
引越してから購入したもの
後に記しますが、のちに親子3代で京都に
大移動することになります。
帰ってきてから、その後 購入したもの。
細かいものは数々ありますが、
大物としては…
車→母の通院や生活に必要な物を買い出しに行くのにすぐ必要、と考え、車種は田舎にいるうちに
その地域の支店でカタログをもらい検討し、大体決定していた
ので、到着日の翌日の日付で
アポをとっておき、すぐに京都の支店に出向いて契約しました。
ダイニングテーブル→
古いテーブルやチェアは処分していたので、
とりあえずは、母は移動式のサイドテーブルで、
娘と私は家にあった昔の骨董品の小さな木の机で
床に座って食事をとっていました。
大急ぎで用意せねば…と、ネット上の
インテリアショップを見あさって、
私好みの、天面の大きい木のテーブルと
チェアを注文しました。

UnsplashのIllia Horokhovskyが撮影した写真
エアコン→帰ってきたのが3月。
暑くなりだすと取り付け工事が
混み合うので、4月のセール時に
複数台まとめ買いして工事日を
予約し、お得に、迅速に取り付けて
もらうことができました。
冷蔵庫→取りあえずは母の使っていたものを
使っていて、セールになった時期を
見計らって、じっくり容量を検討し、
気に入ったものを購入しました。
車や家電、インテリアの大物のショッピングは
金額が大きくなるので、思い切りが必要。
だけど、家の大規模リフォームの契約の金額は
最たるものだったので、その経験を経て、
だいぶん度胸がついていたように思います。
相談したくても、母は老い過ぎているし、
娘は若過ぎる。
1人で迷い、考え、調べ、悩み、結論を出した…。
今振り返れば、まあ…よくできました、はい。
*アイロンがけするのも服をたたむのも、何でもしやすい作業台のような広い
テーブルが好き













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