業者に庭木を伐採してもらうことから
まずは荒れ果てた庭から手をつけました。
リビングのカーテンを恐る恐る開けて裏の庭を見る…それが恐怖でした。
実家を訪れるたび毎度、隣家の敷地にまで伸びてしまっている枝に冷や汗な状態
(お隣さんがいい人やったからよかったものの…)。

UnsplashのJoss Browardが撮影した写真も
敷地内も草木が自由に伸び放題。
我に日光を!とばかりに、それぞれが競うように
枝やつるを伸ばしている。
伐採を依頼する業者に全く心当たりがないので、同じ京都市に
住む親戚に業者さんを紹介してもらい、見積もってもらいました。
遠方にいる事情を伝え、現地の住所を教え、あらかじめ塀越しに
外から庭の状態を見に行ってもらうようお願いしたのです。
庭自体はそんなに広くないけれど、玄関脇の木の伐採も頼んだことと
松や桃など、幹の結構太い樹木が何本もあったので…。
6万円也。
覚悟してたけど、結構しました…。
とことんやると決めた、家の再生。
やむなし。
帰省に合わせて日程を調整し、当日は私が立ち会って作業してもらいました。
電動ノコギリのパワー音と共に次々に切り倒されていく木々。
伸び放題だった主要な庭木が切られ、大量の植木鉢とその中の荒れた植物だけが
残った庭を見たとき、一留の寂しさと共に、これでご近所に迷惑を掛けることはない
、という安堵感がありました。
安堵感の次には、「戦いの火蓋が落とされた」という気持ちで身がひきっしまったのでした。
伐採の後に残された切り株が、5〜6箇所土から顔を出していたで、
「これはもう勝手に枯れていくものですか?「大丈夫でしょう」とのことやったけど、
気になったのは、「この後、雑草が多くなるやろけどねー」
なにー!?雑草!?!?
家を占拠している大量の物たちの確認作業
果たしてどこから手をつけたらいいのかわからへん…家の中。
1階2階合わせて5部屋と、離れにも1部屋、ダイニングにキッチン、庭の3つの倉庫!
いたるところに物がひしめきあっていました。
祖父母の時代から、60年を超える歴史の中でこの家に持ち込まれた
物、物、物、その量と言ったら!!
物がなかった時代に生まれた人達にとっては、豊富に物に囲まれていること
こそ、幸せの象徴だったのです。
ただでさえ物が多いのに、母は物が捨てられない人で、何でも「使えるかも」と取っておく性格。
几帳面にシステム化して収納しているならいいけど、適当にしまい込み、
目に触れなくなると当然、忘れる。
その、忘れ去られたのだろうと推測される品々が次から次に、
出るわ出るわ…。
亡くなった父の物もそのまんま。
仕事の書類や顧客名簿、営業に使ったノベルティの余り…。
離婚した兄の物も。結婚していた時代に使っていた家具やらインテリア小物、服、本…
その他 細々した物をわんさか持ち込んである。
二度と取りに来るあてもないのに。真面目にとってある。
お中元、お歳暮、粗品、抽選品… のし紙がそのままついた箱には、ギフトセットの洗剤やタオル、
キッチン小物など。活躍させてもらえないまま置き去り状態。
あるとわかっていたら、買い足さなかっただろうに、何と無駄なことか。
母も身の回りの整理を、そのうち、そのうち…と思っているうちに体が動かなくなってしまい、
そっくりそのまま、その仕事がこっちへ回ってきました。
中でも、特に多かったのは母の衣類。
結婚当初に持ってきたと思われる、思いっきりレトロなコート、ワンピース、セーター、スカート、着物類、
そして、スーパーの服飾売り場でパート販売員をやっていた時に社員割引で安く買えたのだろう服飾雑貨など…。
山盛りのタオル、ハンカチ、スカーフ…。
買ったもの、誰かからの贈り物らしきもの… 新品もたくさん出てきました。

Image by Mila Okta Safitri from Pixabay
あ、あ、あー・・・!!
見渡して目に見えている物だけでも果てしなくあるのに、
各部屋の押入れの中にも、ぎっしり!!
襖戸を開けてると目に入る、衣装ケースの数を見るだけでもハンパない。
かつて活躍した来客用の布団類もわんさか入ってる。
・・・・気が遠くなった。
とんでもないことに挑もうとしている自分を、改めて思い知りました。
誰かたすけて……。
物たちに敬意を込めて…
「処分品を入れる自治体指定のゴミ袋と、仮置きである借家へ移動させる物を入れる
無地のゴミ袋を大量に現地調達し、次々に仕分けしていきました。
とにかく時間がないので、瞬時に決断していかなければなりません
(それでも悩むので、いったん保留スペースに置いたり、ゴミに入れたものの、また気が変わって
無地の袋に入れ直したもの、またその逆もあったりでした…)。
1つ1つ手に取りながら、こんな果てしない作業、ホントに予定までに終わるんやろか…。
疲労と不安に押しつぶされそうになるのと闘いながら、ただ手を動かし続けるしかありません
でした。
実は、自分で手をつける前に ”生前片付け業者” に家の中を見てもらい、
この作業を依頼したらどのくらいするのか見積もってもらっていました。
ざっくり40万円、とのことでした。
だいたい予想していた額でした。
後日、リフォーム会社の人にこの話をすると、
「しますよ! しますよ!いや、100万とかしますよ!」
と言われました。
運び出す作業も大変ですが、ゴミを分別するのが大変なんで、
それを代わってする手間賃がある程度の額になってしまうのは想像に難しくはありません。
確かに大変やなぁ……。
一般ごみ、プラスチックなどの資源ごみ、缶・ビン(透明か色付きか)、袋には入れられない段ボールや雑紙、
金属類、家電品、電池・電球・蛍光灯、スプレー缶、CD・ビデオなどのメディア類、大型家具や布団、陶器類、
カーテン(カーテンに衣類は一緒に入れたらダメで、一般ゴミになるそうです)……。
ただ、これは自治体によって分け方が違うので、住居地でよく調べる必要があります。
処分方法によって分けてまとめていく作業がこの先、私を待っている。…ぞっとした。
そりゃあ何十万もするわなぁ…。
他人のほうがその家の物に思い入れがない分、作業は早いでしょうが…。
このような果てしない道とわかってなお、一人で進んだのは、これから母と娘を守っていかなあかんという
使命感があり、そのためにはなるべくお金を残しておきたかった、という現実面のこともあるけれど、
最も強かったのは、自分で全ての物に目を通しておきたかった、という気持ちです。

Image by Willfried Wende from Pixabay
物を最小限に減らして、仮置き借家の限られたスペースに収めきらないといけなかったし、
自分一人で運び込む力にも時間にも限界がある…。
長年、物で圧迫されていただけに、新しくなった家は極力少ない物で、
空間を広く使うというスペースの贅沢を感じたかった…。
大量に物を処分しようと決意をして、母にも半ば無理やり処分について
同意を得て来たものの、目にも触れられず処分されるんは、物たちも浮かばれない。
せめて全ての物に…全ての両親の思い出に、目を通し、お礼を言ってから
処分したかったのです。
それが、捨てられていく無力な物たちに対する、せめてもの礼儀、と思えたのです。
実際には、私の脳内や口から出てくる言葉は、「ありがとう」よりも
「ごめんなさい、ごめんなさい」が多かった…。
ありがとうの気持ちも「ごめんなさい」に込めて、作業を進めました。
涙があふれて、あふれて、仕方なかった…。
まずは、不用品買取サービスを利用!

UnsplashのBrett Jordanが撮影した写真
眼の前に大量に広がった、不要品の山。
でも、ゴミばかりではないんです。
長いこと日の目を見ずに保管されていた物、保管中に忘れ去られていた物、必要ないけど使える
からと置いておかれた物……使える物がたくさんあるんです。
だけど多分、今後使うことはないものがたーくさん!!
でも、使えるだけに、無下に捨てるのは心が痛む…。これらを少しでもお金に代えられたら。誰か欲しい人に活用してもらえたら…。
生活の場にこれらの物があるなら、生活しながらメルカリやジモティーに出品して申し込みを待つ、ということもできるけど、それもできない。よほどそのような方法で売れそうな物を最低数だけ一時保管の家へ持っていくことにし、後は別の方法を試みました。
出張買取サービスに電話
「出張高額出張買取」で検索し対応エリアを確認、近くて早く来てくれそうな業者をピックアップして電話。
来てくれた2人組の業者さんは、三段ボックスや小棚、冷凍庫、壺や趣味の工芸品、最初の時点で
処分確実と決めた物を査定してもらいました。
引き取っても売れそうにない物は当然拒否され、売れそうな物はその場で買取値を提示、
私が承諾すると引き取ってもらえるシステム。

Image by Manfred Richter from Pixabay
案の定、「高額買取」とは名ばかりで二束三文の売上金でしたが、
持ち帰ってもらった物の分、幾分か床にスペースが空き、少し前に進んだ
気がしました。
業者が去った後、渡された手書きの計算書を何気なく
見ると、業者の計算間違いで500円多く計上されていて、
ラッキー!と、心で小躍りしました。
リサイクルショップへの持ち込み & 骨董品買取業者への相談
次に行ったのは、近くのリサイクルショップ。
大量の食器セット、お盆、衣類、大正琴などの持ち込みにトライ…。
出張買取を利用した後に、押し入れから出てきた物たちです。
昔は結婚披露宴の引き出物に食器セットを渡すことが多かったらしい。
箱にお行儀よく収まったまま長年が経ち、今となってはレトロなデザインで新鮮さも。
なるべくたくさん車に積み込んで持って行きたかったけど、車がない。田舎へ引っ越した際に処分していたのです…。
仕方ない、行きはタクシーで行こう。売上も手に入るやろうし。
行きはタクシーで、帰りは手ぶらだからブラブラ歩いて帰ればいい。

Image by Deborah Hudson from Pixabay
リサイクルショップには所狭しと持ち込まれた不用品が並べられていました。
すぐさま、店員さんに声を掛け査定をお願いすると、予想もしない言葉が返ってきたのです!
買値が付くのは、唯一 大正琴だけ、ということでした。
古いものとはいえ、まっさらの食器セットも大量に持っていったのに、ただの1円も値が
付かないとは!
予想外の大誤算!!
私が言葉を失っていると、女性店員は迷惑そうな顔で「こういう食器とかって、
場所とるからね、もう置くとこないんすよ。ほら、おんなじようなのがもういっぱい
あるでしょお?」と、指し示す方には、なるほど…同じようなタイプの品々が ”お先に失礼”というような顔で並んでおります…。
重たい食器セットをまた持ち帰ろうとすれば、またタクシーを使わなければ無理だ…。
「どうしよう……」さすがに呆然としている私に、「買値が付かなくてよければ引き取りますけど」と
女性の言葉。
この際、仕方がないっ! あんな重い食器を抱えて帰るなんて、この疲労した体では絶対に無理だ。
お金に替えることをあきらめ、「お願いします」と引き取ってもらい、
唯一の稼ぎ頭・大正琴の代金5000円を受け取り、予定通り徒歩20分の帰途につきました。
近所の骨董品屋へ画像を持ち込み、相談
実家からほんの2分程の場所に骨董品屋ができていたのを、少し前からマークしていました。
父が買い求めたいくつかの壺と、昔 餅つきに使っていた石臼と杵が庭の倉庫にありまして。
こういうの、骨董品になるのかな? ダメもとでも聞くだけ聞いてみよう。
いくら近いとはいえ運ぶのは大変なので、携帯で画像を撮ったものを持参して訪ねてみました。
看板に「お気軽にご相談ください」と書いてあるのに背中を押される気持ちで、「すみませぇん」と扉を開けました。
画像を見せた結果、残念ながら家にある壺類は皆、 ”工芸品”であって”骨董品”ではない、とのことでした。ちーん……。
石臼と杵もまた引き取り✕でした。申し訳なさげに丁寧に対応してくださり、納得して帰りました。
ま、ナイストライ、と言うことで。
仕方なし。
自分一人で動かせない大型家具の処分

UnsplashのJulian Hochgesangが撮影した写真
家の中にはたくさんのタンスがありました。
桐の和ダンスが最も大きく、大・中・小、押し入れの中で
使われていたものも合わせると、9棹くらい?
それに書棚、下駄箱、BOX型の棚…。
あと、ぶら下がり健康器やエアバイクといった健康器具…。
一人では動かせない大型の重いものは、「くらしのマーケット」という
様々なサービスの業者を紹介しているネットサイトで、口コミのよい、
生前整理の業者さんを見つけて連絡をし、下見に来てもらい見積もりして頂きました。
いかにも〜!なガタイのいい、愛想よい男性が来られました。
見積もり額は6万円也。量からすれば、”納得価格”でした。
「その代わり…」と業者さんは付け加えました。
「私と、もう1つ別の業者にも持ち帰ってもらうことを許してもらえますか」量が多すぎるので自分の
トラックに乗り切らないだろう、ということと、そのもう1つの業者が、不用品回収の後 それを海外に売る、
というところで利益が得られる、だから安い料金設定でできるのだ、ということでした。
日本製品はクオリティが高いので、ミャンマーなどで売られて人気があるのです。
私もそういう話を以前に聞いたことがありました。
回収された後の物がどこでどう使われようと構わないし、喜んで再利用してもらえるなら、
物たちも嬉しいと思います。

UnsplashのPaper Texturesが撮影した写真
さあ決まった!
次の帰省日に合わせて作業日の予約をしたので、引き取ってもらうものが
一目瞭然でわかるように付箋を貼ってマーキングし準備しておこっと。
少しでも時間と手間が省けることを常に意識していました。
公共の処分施設をなるべく利用し、自分で持ち込む
何度も田舎と京都を往復したなかで3回位、
レンタカーを借りて不用品を積み込み、ゴミ処理施設へと車を走らせました。

UnsplashのJustin Meckesが撮影した写真
最初は軽トラ。
雨がポツポツ降りかける中、それ以上ひどくならないことを祈りながら積み込んだ…。
子どもの頃 使っていた、グリル付きのダイニングテーブル。まだ置いてあったんだ…。
揃いのダイニングチェア。もう座面が外れているものもある…。
小棚、ハンガーラック、寝具… ゴミ袋には入らない大型ゴミの類です。
トラックに載せて、たんまり持って行っても100kg まで1500円程(当時は
値上げ前で1000円)。100kg超えると10kg増えるごとに200円プラス、という
計算。100kgまで、というのはなかなかの量で、最低金額でかなり持ち込めるのです。
載せられるだけ載せて、山積みになり、この山が崩れないように、同じく処分品の
毛布を上からかぶせ、ゴムひもをかけました。
上から毛布をかけるのは、私の恩人Yさんのアドバイスでした。
降り出していた雨も何とかもち、無事、最低料金でかなりの量の物を一気に処分できました!!
でも、まだまだだ。まだまだ残っている…。
車で片道25〜30分。この道のりを今後何度か往復することになるな…。
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